カヤックしながら、岸辺を見ていても、なかなか木々の識別は、ぱっと見ではわかりづらいかもしれません。
今回は、安房川の木々の1種「シャリンバイ」をご紹介したいと思います。
上の写真をよく見ると、蕾をつけ始めています。
そして、4〜6月に、白または、淡紅色の5弁の花を咲かせます。
和名は、枝が放射状に枝分かれし、車輪のスポークのようで、花が梅に似るところから。
暖地の海岸に多く、日向の岩の上などに生育します。
乾燥や大気汚染に強いことから、道路脇の分離帯、工場や空港などにも植えられます。潮風や風害にも耐えられるので、海の近くの家の生け垣などにも利用されます。ツヤのある常緑葉が美しく耐寒性、耐暑性にも優れている為、ローメンテナンスな庭木ともされています。
葉は、消炎、潰瘍、打撲などに使用され、材は堅いので槌などに用いられます。
果実は、秋に黒く熟し、食用になるとされていますが、1センチほどの球形の実のほとんどは種で、果肉はほんのわずか。
奄美大島の「大島紬(つむぎ)」は、島に自生するシャリンバイを使った泥染で染められています。
シャリンバイの樹皮を煮出した染液で絹糸を数十回染め、色を固着させるために石灰液に浸けてから、再度染液で染めます。その後、鉄分を含んだ泥田に浸けると、染液に含まれている色素成分と鉄分が結び付いてしっかり染まります。この作業を何度も繰り返し、大島紬独特の黒茶色に染め上げます。
染色に使う泥田は、ソテツ(蘇鉄)が自生しているところでないと良い色と風合いが出ません。鉄を蘇よみがえらせると書くソテツは、泥田に鉄分を補給しているのです。
シャリンバイは、耐潮性があるため、奄美大島では海岸をはじめ島中に自生しています。地元ではテーチ木と呼ばれ、ソテツとともに島の生活と切っても切れない植物になっています。
屋久島でも、かつて染色に使われたこともあるのでしょうか。
シャリンバイ 車輪梅 Rhaphiolepis umbellata
バラ科 シャリンバイ属 常緑低木 樹高1〜6m
日本、韓国、台湾までの海岸近くに分布