沢の岩壁を4メートル程登った苔の上に、ピンク色のネジバナの花が咲いていました。
ネーミングの由来は、ねじれるように、数十の花を螺旋状につけるところから。
ネジバナの種はとても小さくて栄養を蓄える「胚乳」が ありません。このため、自分の力だけでは発芽できず ネジバナに共生する菌類から栄養をもらって発芽しています。
ネジバナの1つの花の付け根の部分(子房)を半分に割って、そこに見える種の元(胚珠)の数を拡大鏡を使って数えた方がいます。すると断面に見える胚珠だけで500個以上。子房の内部全体では数千~数万個の種が作られます。
ネジバナ1本(1個体)に付く花の数は数十個あるので、1本あたりに作られる種の数は、なんと数十万~百万個!
ヒマワリ1本の種の数は1000~30000個くらいと言われるので、もの凄い数ですね。
しかし、それだけ種を作っても、共生菌と出会えなければネジバナは育たないので、ネジバナだらけの草原はできず、ネジバナの種を別の場所にまくと育たないことも多いそうです。
あのネジバナは、岩壁のわずかなスペースで、共生菌と出会えたんだなー。
ネジバナ/捩花
学名 Spiranthes sinensis
ラン科 ネジバナ属の小型の多年草
分布 日本全土、ヨーロッパ南部からシベリアにかけて、温帯、熱帯アジア全域、オセアニアなどに広く分布。